Spa & Wellness Insight
寺島 雪江 氏

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セラピストとしての初心を忘れないために

Lapidem インストラクター
寺島 雪江 氏

interviewer: 相馬 順子

Lapidemは日本発のスパ化粧品とプログラムを世界の事業社向けに提供すると同時に、赤坂自社ビル内にスパを持ち、日頃よりどのようにしたらお客様に喜んでもらえるのか?と、研鑽を積み重ねてきた。今年雪ニセコSetsu Niseko(ニセコ・ヒラフ)ホテル内にスパをオープン。ここだけでしか受けることができないメニューをオリジナル開発。
アパレルで成功したLapidem女性オーナーのこのようなスパがあったらとてもうれしい、という気持ちを汲んだメニューや商品開発、セラピストのトレーニングに携わる傍ら、自分の原点であるセラピストとしての立場や気持ちを忘れないために、いまでもLapidemで、週一回の施術にはいっている。
寺島さんに、Lapidemの魅力や、どのようにして今の立場を築いたのかをお伺いする。

五感が気持ちよい、心地よいと感じる

寺島:私がこのスパ業界に入ったのは25年前です。名古屋が出身地なのですが、自分の肌が弱かったため、エステに興味を持ちました。そしてアロマセラピストからスパのセラピストとなり、京都のハイアットリージェンシーのスパやパンピューリのセラピスト・インストラクターとしての経験を経て、現在はLapidemのインストラクターとして新規開業のトレーニングに携わっています。

相馬:Lapidemはスパ商材の販売会社でありながら、赤坂にもスパがありますね。Lapidemに関して少しお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?

寺島:Lapidemは日本から発信したスパブランドです。日本の自然や歴史、文化がはぐくんできた素材を生かしたスパの化粧品を開発し、赤坂の自社サロンや海外のスパを中心にスパブランドを展開してきました。弊社の代表は、じつは服飾デザイナーなんです。最初からお客様目線で生み出されたのがLapidemの商品なのです。自然由来、肌に必要 な成分、そして逆に肌には必要ない成分(例えば防腐剤)など、使う人の立場でいろい ろ考えたうえで、こだわりをもって開発されています。スパトリートメントという極上の使い方をするのに適した粧材だと思っています。
もともと、Lapidemは東洋医学の思想をもとに造られました。トリートメントの前に、コンサルテーションフォームで身体の状態や心の状態をお伺いするのはそのためです。
肌、心、身体と精神を整え、バランスを取り戻す。
そして、香りやテクスチャー(手触り、感覚)を五感が気持ちよい、心地よいと感じてくれるような。

これからも日本らしいものを出していきたい

相馬:Lapidemのオイルは5種類ありますがこれもファイブエレメンツ(五大=ごだい サンスクリット: panca-dhatavah 英: five elements)とは、宇宙(あらゆる世界)を構成しているとする地(ち)・水(すい)・火(か)・風(ふう)・空(くう)の五つの要素のこと。〔出所:Wikipedia〕の思想のもとに考えられたのですか?

寺島:その通りです。東洋の思想や医学の考え方を取り入れたベースがあります。肌と心そして身体はつながっており、ゆえに精神のバランスを整えることによって私たちの施術も昇華されていきます。トリートメントで使用するオイルは、香りのインスピレーションと陰陽五行論によって導き出したり、カラーセラピーも取り入れたりして選んでいます。自然の摂理に従って、足りないものを補い、余剰なものを取り除くという、古くからの教えを大切にしています。

相馬:コロナ前とコロナ後とお客様の変化というのは感じられましたか?

寺島:はい、コロナ前のお客様は、ご褒美としてスパをご利用されていたように思います。でもコロナを通して、お客様が自分自身のメインテナンスのためにスパを使われていることを実感しています。なくてはならないものとしてとらえてくださっているのでしょうか?

相馬:8月にニセコにオープンした雪ニセコ内の六花スパではLapidemのコンセプトのもと、メニューと化粧品が提供されていますが、特にお薦めのメニューはありますか?

寺島:今回の六花スパのために、すべてのメニューを新しく開発いたしました。北海道の自然の恵みを使い、ここだけのメニューに仕上げています。シグネーチャートリートメントでは、最初に足湯をお楽しみいただくのですが、北海道のハーブやお酒をいれて、お客様をおもてなしいたします。 Lapidemは日本発祥のスパブランドとして、これからも日本らしいものを出して、お客様もセラピストもワクワクするようなメニューをつくっていきたいと思っています。

寺島雪江(てらしま ゆきえ)

Lapidem インストラクター。名古屋市出身。もともと自分の肌が弱かったことから、アロマセラピーを勉強、そしてスパセラピストを目指すようになった。京都・ハイアットホテルのスパ、タイのPanPuriでのセラピスト・インストラクターとしての経歴を持つ。

相馬 順子

相馬 順子(そうま よりこ)

株式会社Conceptasia (www.conceptasia.jp)代表取締役。Global Wellness Summitボードメンバー。Boston Consulting Group香港オフィス勤務ののち、ウエルネス事業に対するアドバイス、投資を行う会社を設立。著名ブランドのスパを国内外に次々とオープニングさせてきた。国立大学法人琉球大学観光産業科学部「スパマネジメント論」講座 非常勤講師。