Spa & Wellness Insight
岡田 友悟 氏

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「スパのある暮らし」への第一歩に

スパ&ウエルネスウィーク代表理事
NPO法人日本スパ振興協会 理事長

岡田 友悟 氏

今年も「スパ&ウエルネスウィーク」が開催される。2月14日―3月14日全国の様々なスパが参加するスパの祭典。期間中は憧れのスパもリーズナブルに利用できる。主催するスパ&ウエルネスウィークの代表理事の岡田友悟氏にスパ利用についてのお話をうかがった。

「スパ&ウエルネスウィーク」が始まります。ホテルのスパの他にもいろいろなタイプのスパがありますね。

 「スパ&ウエルネスウィーク」には、シティホテルやリゾートホテルのスパ、温泉旅館スパ、日帰り温浴施設タイプのスパ、そして、エステティックや美容サロンでスパサービスを提供している施設などが参加しています。
 日本はお風呂文化や温泉文化が根強く、スパの認識が少し海外とは違っています。本来、スパはお風呂であり、温泉なのです。日本の温泉は近代では旅館での宿泊というツーリズムとして発展してきました。ただ温泉旅館は遠い、高い、時間もかかります。昭和50年代から都市部にもっと日常的に利用できる日帰り入浴施設が出来てきて、健康ランドや、スーパー銭湯という業態が登場してきました。「レジャー白書」を見ても、レジャーとして温泉や日帰り入浴施設に行きたいという回答は毎年必ず上位に入っています。温泉旅館や温浴系の施設だけでも何万軒もあるでしょう。例えば、銭湯でも一階がお風呂で二階が休憩室になっているような施設では、マッサージを取り入れているところもあります。それは間違いなくスパです。リラクゼーションサロンでもユニット型のサウナやシャワーを備えた施設もありますし、もっと言えばスパメニューとしてヘッドマッサージやアロママッサージを取り入れている施設。このようにスパと標榜していない施設も数えると、本当に日本中スパではないかと思うくらいです。日本は間違いなくスパ大国なのです。

日本人のスパの経験率や、実際の利用層について教えてください。

 温泉利用人口1億人といわれているぐらいです。温泉旅館や日帰り温泉やスーパー銭湯まで含めると経験率はかなり高いと思います。ただスパという意識をもって経験しているかは別ですが。これほどスパに親しんでいる国民はまずいないでしょう。
 今でこそ毎回お風呂を沸かすのが面倒だという理由でシャワーだけの人もいますが、すべての家庭に湯船があり、ボタンを押すだけでお湯が湧いて、ちょうどいい設定に温度を調整できる。こんな国は他に無いのです。
 利用の中心はやはり30代、40代、50代の女性層です。最近はもっと年配の方も、若干ですが増加しています。以前はスパの利用は贅沢なものでした。今ではそうした意識もだいぶ変わってきています。30〜40代の人は海外の旅先で実際に利用しています。中でもバリは一時期とても流行りましたよね。国内の施設数も間違いなく増えています。施設が増えてビジネスが成り立っているわけですから、当然受ける人も増えていると言えます。男性も増えていると聞きますが、やはりまだまだ。特に60代、70代の男性はどちらかというとオイルマッサージより指圧やあん摩などの強いマッサージの方が好きです。若い人はというと料金などの問題でまだ少しハードルが高いようです。20代の女性はボーナス時に利用するようです。また、記念日にカップルで行く話はよく聞くようになりました。お年を召したご夫婦とかのご利用も増えているようですよ。

スパの効果になにを期待したらよいでしょうか。

 まずお風呂は身体を温め、血行を良くする効果があります。マッサージは、最近はスマホ、パソコン、タブレットに日常的に触れていることで、肩がこったり、姿勢を悪くして肩甲骨が固まるなどの不調を招いている方が沢山いらっしゃいます。そうしたものをほぐし、コンディションを整えることは絶対に必要です。ただ30分マッサージしてもらい、帰りの電車でまたずっとスマホをいじっていたのでは勿体ない。マッサージの後に、一時間休憩する。ラウンジで仮眠する。そこまでしないと本当の意味での効果は得られません。これが月に一度でも実現できれば相当息が抜けると思います。極端に言うと最近ホテルのウエルネスメニューでも見かける「脱スマホ」のように、その日は電源を切って、スパに行って1日のんびり過ごし、ランチやディナーで美味しいものを食べて眠る。それだけで相当身体が楽になると思います。スパメニューの一つとして、全身マッサージやヘッドスパであったり、場合によってはエステティックのフェイシャル、一部のスパでは鍼を取り入れているところもあります。場合によってプールでの水中運動やフィットネスのストレッチのようなものも提供します。施設にもよりますが、早めに足を運んでお風呂にゆっくり入って温まったり、施術が終わったあとに休憩室で水分を補給してゆっくり休んむことを勧めるスパもあります。実際のトリートメント時間を1時間として、前後1時間ずつ、約3倍の時間をかけるつもりで利用するとよいでしょう。本当の意味で寛げます。狭いホテルなどですと休憩室が付いていない場所もあるようですが、施設をトータルで利用することで効果が出ますし、心まで休まります。

スパでは色々なサービスを受けられるのですね。

 お風呂に入るだけなら身体を洗うだけになってしまいますし、スポーツだけならジムがある。美容だとエステティック。癒しだとアロママッサージ。そうしたことが複合されているからこそスパの価値があります。スパで、栄養、ヨガ、リラクゼーション、メディテーションなどが複合的に組み合わされることで活きてきます。
 スパを考えたときにホテルの高級スパのイメージが強くあるため、自分には関係ないと思っている方がかなりおられます。確かに街中のマッサージやリラクゼーションサロンに比べれば高いのですが、そこで過ごす空間や時間にそれだけの価値が見出せます。一度行くと確かに良いと実感できるはずです。ここ数年個人消費の単価が下がっていますので、一回二万円と言われると行きにくいと思いますが、だからこそ、今回の「スパ&ウエルネスウィーク」のような機会に体験していただきたいと考えています。もう少しスパが日常に近づき、普段の月に一回は近所のリラクゼーションサロン、もしくは接骨院に行っていただき、3ヶ月に一回はスパの体験をして、美味しいでもヘルシーなランチでも食べてといった生活をすると少し気持ちにゆとりが出ますし、身体だけでない心身の癒しがあれば生活に潤いもでるのではないかと思います。
 施設によって施術、環境、設備が違いますので、この「スパ&ウエルネスウィーク」を機会に色々なスパを体験していただき、自分に合ったスパを探して欲しいですね。それを月に1回とまでは言いませんが、例えば3か月に1回でも定期的に利用することで、コンディショニングを整えて頂きたいですね。やはり人間、身体が資本ですから。ぜひ、「スパのある暮らし」を実践してみてください。

岡田 友悟(おかだ ともあき)

スパ施設に化粧品・トイレタリー製品の販売を行う商社にて、多くの施設の立ち上げにかかわる。幅広くスパ、温泉、温浴、サウナに関する活動を行う。
<現職>特定非営利活動法人 日本スパ振興協会 理事長╱一般社団法人 スパ&ウエルネスウィーク 代表理事╱公益社団法人 日本サウナ・スパ協会 諮問委員╱沖縄県エステティック・スパ協同組合 顧問╱一般財団法人 国際指圧普及協会 理事╱国立大学法人 琉球大学 非常勤講師