
002
此処にしかないスパ作りを!
株式会社 ザ・デイ・スパ
河﨑 多恵 氏
国内有数のスパオペレーターとして、シティホテルやリゾートホテルや旅館など全国18箇所で、スパを展開する株式会社 ザ・デイ・スパ代表の河﨑多恵氏。昨年オープンしたTHE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS賢島の「ザ タラソ スパ」や、クリスタルアワードの常連のハイアットリージェンシー 東京のスパ&ウェルネス「ジュール」について、そして、話題の「グローバルウェルネスデイ」への取り組みを聞いた。
THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS賢島の「ザ タラソ スパ」展開について
ヨーロッパではレストランが宿泊機能を持ったオーベルジュでの滞在は珍しくありません。今回の賢島の施設を皮切りに(株)ひらまつも次々とオーベルジュの展開を始めています。これから日本でも増えてくるかもかもしれませんね。賢島のHIRAMATSU は8室のオーベルジュでタラソテラピーが受けられるのが特徴的です。私達がスパを作る上で、いつも、お客様に其処にいらした甲斐というか、「此処にしか無いスパだから受けて帰ろう」と言われるものを目指そうと考えています。
HIRAMATSUのお客様の場合は、どのようにタラソテラピーを見せるかが重要でした。トリートメントとタラソテラピーとをどうリンクすればオーベルジュにとって最適なのかです。もともとこちらのレストランのお客様は、年齢層も高く、本格的にタラソをやるような方々ではないのではないか、望まれるのは運動メインのタラソではないのではと考えました。試行錯誤の末、出来上がったのは、ちょっとメンテナンスするリラクゼーションよりの全く新しいタラソテラピーです。プライベートプールの「世界一小さなタラソテラピー」が今回の施設の特長です。ゆるやかなジェットバスに横たわりながら英虞湾を眺め、ラグジュアリー感とプライベート感を満喫する時間。海水のタラソプールで心身の緊張をゆるめ、ハマムで身体を温める30分のタラソテラピーモーメント。その後のトリートメントへ良い流れを作り出してとても好評です。また、今回の大きなコンセプトは、「潮湯治」。温かい海水を使いますから年配の方にも気に入っていただけます。誰が、タラソセラピーを受けに何処からいらして、それは何歳位の方で、どういうエクスペリエンスが一番満足感があるのかとを考え、あるべき姿のコンセプトに落とし込んでいくのです。
ハイアット リージェンシー 東京 スパ&ウェルネス「ジュール」はクリスタルアワードの常連。その秘密は?
「ジュール」は、今年で12年目です。オープニング準備の時からホテル側の理解の深さに助けられてきました。ハイアット リージェンシーとしては、必ず「通ってもらえるスパ」にするというのが目標でした。そのために、また来たいと思わせるバリュー感やコンセプトが必要でした。お得感のある価格設定についても他のホテルスパの方から羨ましがられます。それは、ホテル側と最初から一緒に作り込みができたから可能になったことでしょう。また、当時、ホテルスパはホテルの宿泊ゲストだけ受けるのが通常でした。他の2つのハイアットは今もホテルゲストのみです。外来のゲストにいち早く注目をし、日常的に使って頂ける東京のホテルスパの型に取り組んだ先駆けでしょう。「スパミール」の提供を始めたのも東京で恐らく初めてです。また、西洋文化では考えられないらしいですが、日本ではホテルのレディースプランに多くの女性がいらっしゃいます。開放感を求めて女子会で泊まりにくるとか。日本独自のマーケットです。スパ利用者は当日、フィットネスエリアも、プールも無料で利用でき、ミールも付いています。お得感は通っていただけるための大きな理由のひとつだと思うのです。もちろん、施術のクオリティは落とさないよう厳しく確認しています。今何が求められているかを察知し、いち早くスパサービスに反映することが私達の務めです。

グローバルウェルネスデイについて
「グローバルウェルネスデイ(Global Wellness Day)」(本部トルコ)は、2012年にトルコでスタートしたソーシャルプロジェクトです。「1日を変えれば、これからの人生も変わる」のスローガンのもと、一日だけでも世界中で「健康的な生活」に意識を向けようと、6月の第2土曜日を「Global Wellness Day」としました。現在、世界100カ国が参加する一大ウェルネス・イベントに成長しています。
日本は2015年から参加し、私たちが日本の事務局として活動しています。スパ産業に止まることなく、ホテル、エステティック、フィットネスなど様々な分野から参加者は年々伸びてきています。前回は日本エステティック協会のご協力をいただいて北海道から沖縄まで各地で会員様に向けてのイベントを実施して頂きました。また、日本エステティック協会や、シデスコ関連の学校へも広く、お声がけできました。介護や美容の勉強をしている生徒さんが通う鹿児島の高校では、体育館を、その日、生徒達全員で貸切り、地元の住民の方にも参加いただきました。ホテル関係では、初めてヒルトン東京ベイが参加し社内に向けて展開されました。

毎年ヨガイベントなどが行われていましたが、日本発信で何か違うアプローチができないかと考えていました。日本人は世界の中でもヘルシーでウェルネス性が高い国民です。身近なテーマは「食」に違いないと考えました。子供の頃から、「食育」を通して、バランス良く食べることを学んでいます。そこで、「お弁当BOXプロジェクト」を考えたのです。学校の生徒さんやお母さん達に無料で「グローバルウェルネスデイランチBOX」を配布しました。子供の頃から、「食べるものからウエルネスライフはスタートする」というアイディアは、本部も気に入ってくれて、従来のトートバッグや団扇といった開催ツールやアイテムの中にランチBOXも加えたいと言ってきました。西洋と東洋でのウェルネスの考え方にギャップを感じていた時でしたから、これからは日本発信、アジア発信を積極的にしていこうと考えています。ランチBOXイベントや、英語教育学科のある短大では、英語でお弁当の作り方の発表もやりました。本部でも、小さな子ども達への取り組みにとても積極的で、幼稚園の子達に毎日5分のウェルネス授業を計画しています。日本でも、ご賛同いただける大学からバックアップしてもらいウエルネスクラスを子供の時から作ってもらいたいですね。小学生なら1週間に1時間、ウエルネスについて考えるプログラムが実現できたらすばらしいですよね。
来年のグローバルウェルネスデイは6月9日です。世界中でイベントを開催します。日本開催は、来年で4年目。まだまだ知られていないイベントでもあるので、もっと認知度を上げていきたいと考えています。次回も、子供達にターゲットを当てて、「食育」をテーマに開催します。

河﨑 多恵(かわさき たえ)
株式会社ザ・デイ・スパ代表取締役。高校・大学をアメリカ合衆国カリフォルニア州にて過ごす。カリフォルニア大学サンタバーバラ校では経済学を専攻し、トップ6%の成績で卒業(High Honor)。その後奨学金制度を受け、台湾師範大学にて中国語を学ぶ。台湾留学中、アメリカ系スパ化粧品会社のインターンシップを通して、スパビジネスのノウハウを伝授される。現在は国内をベースに、シティホテル・リゾートホテル・旅館等を中心に、18箇所(2018年1月現在)のスパオペレーションの展開とスパコンサルティング業務を行う。